日本酒の酒蔵はなぜ多いか?
日本酒の種類ってなんでこんなに多いんだろう?
日本酒を作っている酒蔵はなぜこんなに多いんだろう?
って、疑問に感じたこと、ありません?
日本酒が結構好きで(まぁ、お酒全般に好きなんですけどね)、
お店のメニューに
「おすすめ、地酒一覧」
とか、
「日本酒、入荷しました」
とか。
眺めると、種類も酒蔵も相当豊富です。
有名どころは被っている日本酒が多いものの、店によって種類は千差万別。
なぜ、こんなに酒蔵の数が多いのか以前から気になっていました。
そんな疑問に対して、依然読んでいた本の中に、
「あー、なんか納得」と思える内容がありました。
一言でいうと、「需給バランス」の結果です。
まだ武士がいた時代の日本、大名の規模を「100万石の大名」と、いわれるように、武士は給金を「お米」でもらっていました。
給金はお米ではありましたが、もちろん「お米」だけで暮らすわけではなく、食べ物では、魚や野菜が必要ですし、暮らしていくためには、着るものや、調理するための道具、寝るための布団も必要ですし、今の私たちと同じように様々なものが必要です。
その際、武士は「お米」を「お金」に変える必要があるのですが、その相場は「お米」の流通量で決まってきます。
ということは、「お米」の流通量が多ければ多いほど、「需給」の関係で「お米」の相場は安くなります。
もちろん、「お米」の収穫量が多いことはよいことなのですが、武士の生活水準を考えると、多すぎる「お米」の流通量は「お米」の価値を下げるため、「お米」を「お金」に変える際の相場も不利になり、武士が買える生活品にも影響が出てくることになります。
そこで出てきたのが、「お米」を違う姿に変える、というアイデアでした。
んんん?違う姿とは???
それは「お米」を材料として「日本酒」を作るというものです。日本酒は「お米」を材料としているため、「日本酒」を作れば作るほど、材料である「お米」が使われがることになります。そうすると、そこでお米が使われることになり、材料としてたくさん使われれば使われるほど、「お米」流通量も減ることとなります。そうすると地祇はどうなるのかというと、「お米」と「お金」の相対的か価値が動き、流通量の少なくなった「お米」の価値が上げることになるのです。
そこで各大名はこぞって酒蔵を作る、もしくは、酒蔵作りを推奨するようになった、と。自らが取り扱うのであれば、出来上がった「日本酒」を販売することにより、「お金」を手に入れることができますし、材料として「お米」を使うことになるので、仮に自分で取り扱っていなくても、「お米」の流通量を減らすことにより相対的に「お米」の価値を上げ、武士の給金の価値を上げることができる、というわけです。
その名残が今も残り、日本では全国各地、特にコメどころに、多くの酒蔵が存在するようになった、ということでした。
日本酒を飲みながら、「おいしー!」だけではなく、「需給バランスのおかげで美味しい日本酒が飲めるのかぁ」と少し賢くなった気分になりました。