財政赤字の限界
昔読んだ本、奇跡の経済教室から。
政府の財政赤字は、民間部門の貯蓄によってファイナンスされるものではない。
政府の財政赤字は、それと同額の民間部門の貯蓄を生み出す。
したがい、民間部門の貯蓄量が制約となって、財政赤字拡大できなくなることはない。
日本政府についていえば、返済能力に限界はない。
なぜなら、借金の返済に必要な通貨である円を発行しているは、政府自身(厳密には中央政府と日本銀行)であるから。
政府通貨を発行する能力があるため、個人や民間企業とは異なる。
個人や民間企業は通貨を発行できないため、収入から借金を返済する必要があるが、通貨を発行できる政府にはその必要はなく、自国通貨建ての国債は返済不能に陥ることはない。
仮に政府が政治的意思によって、借金を返済しないと決めたら財政破綻はあり得るが、国家に返済の意思がある限りは、財政が破綻することはなく、歴史上にも例はない。
アルゼンチンなど財政破綻を経験した国もあるが、それは、外貨建て国債の債務不履行。2008年のギリシャやイタリアの財政危機は自国通貨建てではなく、ユーロ建てであたから。
では、政府が財政赤字を拡大しまくったらどうなるのか?
需要が拡大して供給を超えるのでインフレになる。
ハイパーインフラになると貨幣が無価値になるので、財政赤字はどこまで拡大してよいかというと、インフレが行き過ぎない程度まで。
財政赤字の制約を決めるのは、インフレ率、になる。
財政赤字の制約となるのは、民間部門の貯蓄ではなく、政府の返済能力でもなく
インフレ率である。
もし、今のにひんで財政赤字が大きすぎるのであれば、インフレ率が行き過ぎているはずである。財政赤字の制約を決めるのはインフレ率であるから。
しかし、日本はインフレどころかでふれであり、そのため、デフレである限りは財政赤字は拡大しても問題がないということになる。