疑似体験させる
コロナ前の話ですが、子供たちとスーパーに買い物に行くと、時間帯によっては、かなり豊富な試食が揃っていました。
お肉コーナーでは、しゃぶしゃぶやら焼き肉がいい香りをさせながら、
「どうぞー、美味しいですよー」と呼び込みをかけています。
乳製品コーナーでは、ヨーグルトの新製品が、
「新しく発売された商品です、ぜひお試しください」とこちらも負けじと声を張っています。
そのすぐ近くでは、パンの特売の試食が。
さらにその奥には、新しい味のカルピス。
またその先には、季節限定のチョコレートが。。。
いや、もう本当にたくさんあるんですよ。
で、本当に申し訳ないのですが、子供たちは喜び勇んで、食べて回るんですよね。
「おいしー!」
「あまーい!」
「かって、かってーー!」
いやいやいや、買っても1種類ですからね、しかも決定権はママですから。
とか思ってると、
「お父様もおひとつーー!」
「え、え、あのー。。」
とか勧められ・・・。。
さらには子供たちの歓声に他のお客さんも集まりだし・・・。。。
だいたい、テンヤワンヤ。。
えー、本題ですけれど、なぜ、こんなに試食をさせているのかな、という点です。
食べさせたからといって買ってくれるわけではないですもんね。
まぁ、でも、夕食の献立に悩んでいる子供連れには効果的らしく、子供の「おいしー」や「かってー」で決めることも多いようです。
タイトルが「疑似体験させる」とあるように、試食のみならず、疑似体験させていることはほかにもあります。
試食であれば、自分で買っていないのに、あたかも買ったかのように食べる。ということになります。
他には「試乗」ですね。
自分の車ではないのに、自分の車のように(いや、そりゃ気は使うでしょうけど)乗ることができる。
他にもサービスを疑似体験させるというのもあります。初回無料とか初回特別価格とか。
ではなぜ、身銭を切ってまで顧客に疑似体験させるのでしょうか?
それは、自分のものになったつもり、になってしまうからです。
特に試乗が分かりやすいと思います。
新しい車に乗って、少しそのあたりを走るだけかもしれませんが、心地いい乗り心地、かっこいい車体、スムーズな加速、、なんかいい!!
と思っているうちに、もし自分がこの車の持ち主だったら、どうだろう。
→この車のオーナーは自分だと、、考えてしまうのです。
esという映画をご存じでしょうか?
刑務所を舞台にした映画で、疑似的に役割を与える実験として有名な映画かと思います。
内容は、一般の人から募集をかけて、囚人と看守という特別な肩書を与えるというものです。そうすると、人間は疑似的に与えられたその役割や肩書、囚人は本当の囚人のように、看守は本物の看守のように、それに合わせて行動してしまう。
この映画自体は、スタンフォード監獄実験をもとにしていると思われます。
日常の疑似体験とは少し離れてしまいましたが、高級車のオーナーという役割を与えられたら、セレブなサロンの会員という肩書をもらえたら、・・・
あたかも自分のものであるかのように勘違いし、購入してしまうのかもしれません。
結論:試乗するとき、体験キャンペーンを受けるときは、強い意志を持って!?