労働契約法の改正
有期労働契約(※)の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、働く方が安心して働き続けることができるようにするため、労働契約法が改正され、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備されました。
ふむふむ。
賞与もなく、給与も正社員より低い。場合によっては突然の契約中断のリスクを抱える。これを問題視して法改正をしたのか。なんとなく良い気がする。
でもね、これ重要な要素が欠けているんです。
何だと思います?
それは働く人間全員が正社員もしくは無期労働契約で働きたいと決めつけている点。
派遣で働いている人の中には、勿論正社員としてバリ働きたいと思っている人もいます。ただ、中には事務派遣として決められたデスクワークをやるのが好きな人もいますし、正社員のようにガスガスやりたいわけではなく、ゆるーく働きたい人ももちろんいます。
これを無視して、全員正社員か無期労働契約でやりたいはず!と決め打っちゃってるんですね。
で、実際に何が起こってしまうかというと、派遣切りのような問題がおこってしまうんですよね。
なぜか?
派遣元(派遣さんを世の企業に送り出している会社)からすると、今までは登録型の有期労働契約派遣であり、企業からオファーがあり派遣さんに出向いて働いてもらい、手数料を受け取る、という流れでした。そのため企業からオファーがない期間の待機コストはかかりませんでした。
これが無期労働契約に変わると、派遣元は企業からのオファーが無く、待機している派遣さんについても給料を払い続けなければならなくなります。まぁこれが無期に変える派遣さんからの大きなメリットではあるのですが、そのコストは一体どこから捻出されるのか?
派遣元からすると全てのコストを被ると大損になってしまうので、派遣先の企業にもいくらかの値上げを要請することになります。派遣先にとっても今までと享受するサービスは変わらないのに値段だけ上げますというのはとても受け入れられる話ではないので、ならこれを機に整理をしましょう、今まで5人でやってたところを4人で担ってもらう、もしくは、内製化の動き(派遣さんにやってもらってた仕事を正社員で巻き取る)となるのは自然の流れかと思います。
更には、体力のない派遣元会社であれば、そもそもコストアップになるような無期契約にするのであれば、そうなるまえに切ってしまえ!と考えるところも出てくるかもしれません。(ルールである程度は防げるかもしれませんが。)
こうなってきてしまうといったい誰のための法改正だったのか?
今までは、この値段でこの仕事量をこなしてくれているのであれば、引き続き(半永久的)にやってもらおうかな、と思われていたことが、
この値段だと新入社員を入れて育てたほうがいいかな。。とか、
ギリギリでやってるのに値上げには耐えられないな。。とか、
お金を払う派遣先企業にとってはこんな風に考えてしまうでしょうね。
働く方が安心して働き続けることができるようにするため
やろうとしていることは素晴らしいと思いますし、ぜひとも進めてほしいとも思うのですが、やり方や方法については、キチンと実態を把握し、問題点がどこにあって、改善した場合はどんな影響があるのか、しっかり詰めなければいけませんね。