行動経済学 人間の思考の仕組み3
行動経済学について何度か取り上げていますが、先日読んだ本の中から、これは面白いなーと思えるものがあったので、書いてみたいと思います。
人間は損失を回避しようとする、10,000円拾うより、10,000円落とす方に敏感に反応する、という話ですが、これ、こんな活用方法もあるようです。
実験の舞台はある学校。そこでテストを行うわけなのですが、テストを行う子供たちにインセンティブ(まぁお金ですね。)を与えます。
一つの班はテストを行う前にお金を渡し、ある一定以上の基準を満たせばそのお金はそのままあなたたちのものです、ただし、満たさない場合はそのお金は返してもらいます、と条件を付けます。
もう一つの班は事前にはお金を渡さず、一定以上ならお金を渡すけど満たさなければあげませんよと同じ条件を付けます。
するとどうでしょう、事前にお金を渡された方は、既にそれは自分のものと認識するため損失回避の感情が働きます。一方事前にもらえていないほうは、まだ自分のものであるという認識にはなっていないので、損失回避の感情は働きません。
結果、事前にお金を渡された班の方が高い得点を記録したのです。
えー、でもご褒美って一時的な効果しかなくて、ご褒美がなくなった途端、元に戻っちゃうんじゃないのー?
って私もそう思ってました。
でも、この取り組みを一定期間続けた後に、ご褒美制度をなくしても、成績アップの効果は有意に継続したのだそうです。
ん、でもそれってさ、子供だからうまいこといったんちゃうの?
うんうん、そうかも。
でも、、同様に教師にも同じことをやったみたいなんですよね。自分とこの生徒がいい成績になったらインセンティブあげるよ。それを事前に渡すのと後から渡すのと子供たちにやった方法と全く同じ形で。
で、結果どうだったかというと、見事に損失回避の感情が働き、事前にお金を渡した班が最も高い成績を収めたと。
更にへーっと思ったのが、子供と教師のインセンティブの組み合わせ、これが最も高い効果を得たとのことで、損失回避の感情はこんなところでも顕著に表れる、とのことでした。
これって職場でも使えない?と思ったのですがどうでしょう。
ニンジンを目の前にぶら下げられると一時的には頑張るけど、過ぎてしまえば元通りになるというのがよく聞く話ですが、実験の結果からするとニンジンがなくなったも走り続けることができるようです。
残業削減の施策で、頑張って生産性を上げてほしいから先に残業相当分を支給しますよ、あ、でもダメだったら返してもらうからね、とやっておいて、後から支給をなくしてもその効果は継続する、、はず。
とか、
遅刻撲滅の施策で、朝早く来たら朝食サービスです、あ、でも遅刻したら権利剥奪ね、とやっておいて、そのうち朝食サービスがなくなっても、遅刻の件数は増えない、、はず。
やってみる価値、あるかもですね?!